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イントロ~『あつまれ!ふしぎ研究部』~

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部活動と言えば青春、汗と涙、闘魂と情熱……ばかりではないのです。やりたいことが見つからずに何となく部活をしている人もいれば、同じ趣味の仲間が見つからないのでとりあえず最大公約数的に「ふしぎ」を看板にして部活動をでっちあげる、なんてことをする人たちも中にはいます。具体的に言えば、このマンガのキャラクター達がそうです。

安部真弘といえば、アニメにもなった『侵略!イカ娘』が有名ですが、彼が2016年から連載している現在進行形のマンガが、この『あつまれ!ふしぎ研究部』になります。
安部真弘さん曰く、『侵略!イカ娘』の連載ではやれなかった事、興味を持った物などを詰め込んで、「タイトル通り、いろんなキャラクター、ハプニングがふしぎ研究部に沢山あつまるような、楽しい漫画にできたら良いな」という意気込みから始められた連載です(『あつまれ!ふしぎ研究部』第1巻・作者あとがきより)

結論から言うと、まさにその通りの作品に仕上がってると思います。本作は、ほのぼのとした学園物であり、また日常系の作品であり、『侵略!イカ娘』とは異なる「男主人公」であり、また適度にお色気要素があちこちに散りばめられ、作者さんの守備範囲の広さと柔軟さを物語っているように思われます。

とまあ、難しいことを言っていても始まりませんので、さっそくあらすじからご紹介させていただきます。この作品の魅力の十分の一でも伝わればいいのですが……(頑張ります)。


『あつまれ!ふしぎ研究部』のあらすじ

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主人公の五領大祐(ごりょうだいすけ)は、特に趣味や才能のない平凡な高校一年生。これといってやりたいことがあるわけでもありません。

ある日、教師から荷物を倉庫に仕舞って来るように頼まれますが、それを間違って今は使っていない旧倉庫の方に運び込んでしまいます。そしてその倉庫は現在、『ふしぎ研究部』の部室になっていたのです。

聞くところによると、その部員たちは別々の趣味を持っているのですが仲間が見つからず、仕方なく「ふしぎ」を研究するという名目で寄り合い所帯を作っている、とのこと。

そして、部員の一人で最年長でもある大原ことねの催眠術によって、大祐は半ば無理やりに『ふしぎ研究部』の部員にさせられてしまいます。

部員は大祐を含めて四人。

・催眠術担当の大原ことね。
・マジック担当の神田千晶。
・オカルト担当の二宮鈴。

皆さんそれぞれに独特の怪しさを漂わせています。
大祐はこれからどうなるのでしょう?そんなところから、この物語は始まります。


『あつまれ!ふしぎ研究部』の登場人物

五領大祐(ごりょうだいすけ)

本作の主人公。南湘高校一年生。大原ことねの催眠術で入部届けに無理やり名前を書かせられ、『ふしぎ研究部』に入部するに至る。ものすごく催眠術にかかりやすい。

部員たちの人体実験によく利用されるので心労が絶えないが、狭い部室でハーレム状態なのでたまには(毎回か?)いいこともある。ご想像通りのハプニングです。テンションの上がるハプニングが起こると、下半身を隠すように慌てて座ったりするシーンが多数あり。基本的に善良だが、欲望には正直。

大原ことね(おおはらことね)

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『ふしぎ研究部』部長でもあり、最年長の女性。南湘高校三年生。催眠術を担当している。プロ級の腕前。スタイル良し。

「催眠術師は第一印象が大事」と言うことで、部室ではいつも白衣を着用しており、いつも催眠術用の五円玉を髪に備え付けている。(ちなみに安部真弘さんが自身のツイッターで投稿した、大原ことねさんが五円玉を髪から取り外すGIFアニメはこちら)


大祐と出会ったばかりの頃は凛とした「大人の女性」という雰囲気だったが、次第に運動神経のなさやドジでおっちょこちょいなところがあらわになってくる。大祐のことがそれなりに好き。

神田千晶(かんだちあき)

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南湘高校二年生。『ふしぎ研究部』のマジック担当だが、タネや仕掛けに気を配らずいつもノープランでやり始めるため、成功したためしはない。スタイル良くないことをわりと気にしている。

明るい性格だが怪力で勉強は苦手。「勉強より大切なことって沢山ある」「体育にパラメーター全振りしてる」などの発言をしている。

四人兄弟の長女でもあり、面倒見はいい。意外と女性らしいところもある。大祐のことがそれなりに好き。

二宮鈴(にのみやすず)

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南湘高校一年生。大祐とは別のクラス。『ふしぎ研究部』のオカルト担当で相当のマニア。呪われたアイテムの収集癖があるため、部室の中には出所のよくわからないお面や下駄や人形が置かれている。お気に入りの市松人形「松子」をいつも持ち歩いている。学園内での通り名は「呪いの鈴」。大祐のことがそれなりに好き。

高浜麗子(たかはまれいこ)

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南湘高校二年生。風紀委員だが、ただのマジック道具や文房具から卑猥な妄想をするあたり、この作品中、一番不健全な頭の持ち主。おさげでメガネというTHE委員長の外見だが委員長ではない。スタイル良し。
『ふしぎ研究部』が日常的に不健全な行為にふけっていると決め付けているが、その決め付け方自体が『ふしぎ研究部』の部員たちからドン引きの対象になっている。思い込みが激しいため、ことねの催眠術にかかりやすい。大祐のことがそれなりに好き。


『あつまれ!ふしぎ研究部』の見所(ネタバレあり)

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上記の登場人物紹介をご覧になってもわかるように、「ごく普通」のキャラクターはほとんど登場しません。

主人公の大祐がかろうじて「ごく普通」なのですが、ストーリーが進んで行くにつれて、『ふしぎ研究部』の部員達の影響からか、またはこの作品が持つ独特の志向ゆえか、彼にもちょっと怪しい部分が見え隠れし始めます。一例を挙げると、とある回でなぜか「女装」をするハメになり、しかもそれを風紀委員の高浜さんに見られてしまう、というものがあります。蛇足ながら言うと、その女装姿は彼のお母さんにそっくりだったりするので、後でまたややこしい展開を招いてしまったり……。(大祐君の名誉のために申し上げておきますが、決して女装癖があるわけでもありません。それはそれで面白い気もしますが)

また回を追うごとに、絶妙なタイミングで新しいキャラクターが登場したりしますが、お察しの通り「ごく普通」の人物は皆無です。
怪しげな惚れ薬などを駆使して『ふしぎ研究部』を乗っ取ろうとする平塚和香(ひらつかののか)、学園内の生徒の情報を相当に把握している新聞部部長の吉沢かなめ(よしざわかなめ)、また個人的には大祐のクラスメイトでコギャル系の田中良子(たなかりょうこ)もオススメしたいと思います。ところで今ああいうコギャルって日本全国にどのくらいいるのかな……?

閑話休題。
改めておわかりになりますように、『あつまれ!ふしぎ研究部』には「ごく普通」のキャラクターはほとんど登場しませんが、そのかわりどのキャラクターも(ほとんどが女性です)非日常的な魅力にあふれています。

主人公の大祐は、これといってどのヒロインとも恋仲にはならないのですが、逆にどのヒロインも大祐に対しては「それなりの」好意を抱いているのに、それを大祐は自覚することはありません。時には、ヒロイン同士で目に見えない牽制のような空気が表面化することもありますが、やはり大祐にはそのことに気付く様子はないのです。

ある意味、うらやましすぎるシチュエーションですが、その代わりハプニングに巻き込まれることも多いので、その分の心労や気苦労を考えると、大祐に同情のような気持ちも感じなくもありません。

ジャンル的には「学園コメディ」に分類されると思いますが、そうしたジャンルの中でも、キャラクターの多彩ぶりはかなり光るものがあります。タイトルの『あつまれ!ふしぎ研究部』の名に恥じず、たくさんのふしぎな現象と一緒に、たくさんのふしぎなキャラクターで賑わっていて、毎週読むのが楽しみになる逸品です。

『あつまれ!ふしぎ研究部』の感想

冒頭でも触れましたが、作者の安部真弘さんが前作の『侵略!イカ娘』でやれなかったこと、興味をもったことなどを詰め込んだのが、この『あつまれ!ふしぎ研究部』になります。

そのため、絵柄や基本的な雰囲気などは『イカ娘』と同じなのですが、盛り込まれている要素や題材などにかなり異なるものを感じました。

同じ作者の作品でありながら、こうも多彩なやり方ができるものなのか!と、個人的に感心したものです。(それがプロというものかもしれませんが)

ストーリーを貫く骨太のテーマ、といったものはありませんが、かえってそれが柔軟な「面白さ」を可能にしているという気がします。

そして、こうした多彩なキャラクターが登場する作品では、読み込むにつれて「推し」のひとつやふたつが、多かれ少なかれ必ず出てくるものだと思います。その「推し」が活躍する様を眺めるのも、また一興でしょう。

また、全体的にシンプルな絵柄なので、初めて読まれる方もわりと抵抗なく読み進めることができると思います。

それにしても、こうした『ふしぎ研究部』に限らず、ちょっと変わった部活って漫画の世界には多いですよね。私自身の学生生活を振り返ると、あまりそういうサークルはなかったような気がします。

正統派のクラブ活動がいけないというわけではありませんが、中にはこんなちょっと異質の人たちが集まる部活もあっていいと思うのです。その意味で、こうした作品はもっと広まって欲しい、そして誰かちょっと毛色の変わったサークルを立ち上げてくれないかな、と勝手に期待してしまいます。幽霊部員でもいいなら、入ってもいいです(笑)

おわりに

本作は2019年の現在、『週刊少年チャンピオン』で現在進行形の漫画です。そのため、上に記した情報もまた、さらに追加・更新される可能性があります。一例を挙げると、当初はあまり表面化しなかった「ラブコメ」路線も、回を追うごとに少しずつ定着し始めた感があるのです。

コミックを購入してその変化を見つけるのも良し、週刊誌で毎週少しずつ楽しむのも良し、『ふしぎ研究部』はいつでもあなたの入部をお待ちしています。

結論、『あつまれ!ふしぎ研究部』は買いです。



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